TEL.(098)895-8276・8270
沖縄県 西原町 字千原1番地
琉球大学法文学部考古学研究室
2020年 | 試掘調査が実施される | |
2021年~ | 嘉陽上城構内道路整備工事に伴う発掘調査が実施される | |
2021年 | 11月19日 | 沖縄考古学会役員会にて、名護市嘉陽上グスクの保存要請について審議(以降、継続的に審議) |
2022年 | 10月20日 | 沖縄考古学会遺跡保存部会による嘉陽グスクの現地視察を実施 |
11月19日 | 沖縄考古学会員による嘉陽上グスクの現地見学を実施 | |
11月29日 | 名護市長、名護市議会議長、名護市教育委員会教育長あてに名護市嘉陽上グスクの現地保存と活用に関する要請を行った | |
12月16日 | 沖縄県教育委員会教育長あてに名護市嘉陽上グスクの現地保存と活用の指導・助言に関する要請を行った | |
名護市教育長より要請に対する回答 | ||
12月22日 | 島袋会長、下地副会長、宮城事務局長の3名が、名護市嘉陽区区長と嘉陽上グスクに関して意見交換を行った | |
2023年 | 1月11日 | 琉球沖縄歴史学会より名護市あてに名護市・名護市教育委員会・名護市議会あてに「嘉陽上グスク」の保存・活用に関する要望書提出 |
1月20日 | 沖縄考古学会役員会にて、要請に対する名護市教育長からの回答と今後の方向性について審議した | |
2月5日 | 日本考古学協会九州地区保存部会会議にて嘉陽上グスクの保存要請活動について報告 | |
2月9日 | 名護市議会にて嘉陽上グスクの保存要請に関する説明を行う 嘉陽区公民館にて嘉陽上グスクの保存要請に関する意見交換を行う |
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2月17日 | 沖縄考古学会役員会にて、これまでの状況確認と今後の方向性について審議した | |
2月27日 | (沖縄タイムス)嘉陽上グスク保存問題に関する記事掲載 | |
2月28日 | (琉球新報)嘉陽上グスク保存問題に関する記事掲載 | |
3月10日 | 嘉陽区公民館にて区民を対象に嘉陽上グスクの保存要請に関する説明を行う | |
3月17日 | 沖縄考古学会役員会にて、今後の方向性について審議した | |
3月30日 | 日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会・九州考古学会関係者による嘉陽上グスクの現地視察 | |
4月7日 | 嘉陽区公民館にて當眞嗣一氏(当会顧問)による区民対象の嘉陽上グスクに関する勉強会を開催 | |
4月16日 | 日本考古学協会の埋蔵文化財保護対策委員会幹事会にて嘉陽上グスクの保存要請について報告 | |
4月21日 | 沖縄考古学会役員会にて、これまでの状況確認と今後の方向性について審議した | |
4月27日 | (沖縄タイムス)嘉陽上グスク保存問題に関する記事掲載 | |
沖縄考古学会臨時役員会にて、今後の方向性について審議した | ||
5月12日 | 九州考古学会より沖縄県名護市嘉陽上グスクの保存と活用について名護市長、名護市教育長宛に要請 | |
6月19日 | 沖縄民俗学会より名護市嘉陽上グスクの現地保存と活用に関する要請書を名護市並びに名護市教育委員会へ提出 | |
6月28日 | 第211回名護市議会定例会議において、陳情第12号「名護市嘉陽上グスクの現地保存と活用について」が採択される | |
9月7日 | 名護市長、名護市教育長より沖縄民俗学会の要請に対する回答 | |
9月22日 | 沖縄考古学会員による嘉陽上グスクの現地見学を実施 | |
10月20日 | 沖縄考古学会役員会にて、これまでの状況確認と今後の方向性について審議した | |
11月28日~1月21日 | 名護博物館ギャラリーにて企画展「見えてきた!名護・やんばるの『土より成るグスク』」開催 | |
11月17日 | 沖縄考古学会役員会にて、今後の方向性について審議した | |
12月1日 | 名護市長、名護市議会議長、名護市教育委員会教育長あてに名護市嘉陽上グスクの現地保存と活用に関する再要請を行った。また嘉陽区あてに嘉陽上グスクに関する提案を行った。 |
嘉陽上グスクは、沖縄に約300箇所あるグスクの中でも十数カ所しか確認されていない「土のグスク」であり、今般の発掘調査によって、沖縄のグスクの多様性や、機能の解明に迫る重要な手がかりが得られています。こうした重要性に鑑みて、本会では、令和4年11月29日付け文書にて、嘉陽上グスクの現地保存と活用について要請しました。
本会の保存と活用についての要請ならびに県内外の学術団体の要請に対して、鍛冶関係遺構について現地保存の方向性が模索されていることは前進ですが、令和6年度以降に予定されている、遺跡の破壊を前提とした記録保存調査については今一度再考の必要があると考えます。
嘉陽上グスクは、グスクの分布自体が希薄な沖縄本島北部東海岸のグスクとして極めて貴重であると同時に、他に替えがたいものであり、近隣の関連文化財と一体的に保護・活用することで、地域の文化振興の要ともなりうる遺跡です。鍛冶関係遺構のみを他の遺構から切り離して保存するだけでは、面的な広がりをもつグスクの全体像とその多様な機能的側面を後世に伝え残す上では不十分であり、このような歴史遺産は、一度失われてしまうと取り戻すことはできません。
このような遺跡の重要性と将来性に鑑みて、本学会は12月1日付文書にて、名護市長、名護市議会議長、名護市教育委員会教育長あてに本遺跡の現地保存と活用に向けた取り扱いに関する再要請を実施しました。
また、同日付け文書にて、嘉陽区あてに嘉陽上グスクに関する提案を行いました。
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名護市の嘉陽上グスクは、沖縄に約300箇所あるグスクの中でも十数カ所しか確認されていない「土のグスク」であり、2021年9月から実施されている緊急発掘調査によって、丘陵地の頂部と斜面に広範囲にわたって保存状態の良い「切岸」や「曲輪」が複数確認され、「曲輪」内部からは主に掘立柱建物跡と考えられる柱穴が数百基も確認されるなど、重要な知見が得られています。出土遺物としては、13~15世紀にかけての陶磁器類がまとまっており、金属製品、ガラス玉なども検出されているほか、金属(鉄?)を加工するための鍛冶場と考えられる遺構と、それに伴う掘立柱建物を構成すると推察される多くの柱穴が極めて良好な状態で確認されています。この嘉陽上グスクの調査成果は、従来、沖縄では不明確だったグスク内の鍛冶場空間とその作業の様子を明瞭かつ具体的に復元できる可能性があり、このことは、グスクが軍事防御施設であると同時に、「金属工房」としての機能も備えていたことを示す重要な発見となるものです。
今回の調査成果は、沖縄のグスクの多様性について新たな知見をもたらすとともに、グスクの機能を具体的に解明する上で、極めて重要なものであることから、このような遺跡の重要性に鑑みて、本学会は11月29日付文書にて、名護市長、名護市議会議長、名護市教育委員会教育長あてに本遺跡の現地保存と活用に向けた取り扱いに関する要請を実施しました。
また、沖縄県教育委員会教育長あてに現地保存と活用の指導・助言についての要請を行いました
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