生命の源となったと言われている海は地球上における面積の70.8%を占めている。海は時に大いなる幸をもたらし、時に人々の交流を促すきっかけとなり、時に海から癒しを与えられることがある一方で、海は津波や高潮、塩害などの災いを招くことも時にあります。
その海上に浮かぶ約60の小さな島々から成る琉球列島は太古より海と深い関わりを有していました。亜熱帯気候の中で育まれた特徴的な海棲生物や、それらを利用した道具類、そして海の様子をモチーフにした焼物の文様や着物の図柄、海を信仰する独特の風習、黒潮や海風を巧みに操った航海技術や、それによってもたらされた文化や文物など、琉球列島と海との関わりを多く上げることができます。
今回の特別展「海の沖縄」では「沖縄」と「海」を6つのテーマに分けて、自然史、人類、民俗、考古、歴史、美術工芸の各視点から両者の深いかかわりについて再度、読み解いてくことの試みを行っています。更に将来において「沖縄」と「海」がどのような関係を構築することができるのかを、様々な視点から触れていきます。
その中でも考古資料では浦底遺跡のシャコガイ製貝斧、ナガラ原第三貝塚の貝輪、タケノコガイ製品、清水貝塚の貝匙などの貝製品や浦添貝塚の市来式土器、城嶽貝塚の明刀銭など先史時代における交流を示す遺物、グスク時代における那覇湊の一端が垣間見られる渡地村跡から出土した陶磁器や銭貨や御物グスクの中国産陶磁器など、海由来の素材から見える姿や海を介して見えてくる交流、交易の姿を写し出していく予定です。また、かつて浮島であった16世紀中頃の那覇周辺1/2000模型や触れられる貝匙レプリカや100文銭の銭差を完全再現するなどを多彩な展示を行います。
これらの展示から、海と沖縄との関係は切っても切れないものであったことを知ると同時に、海と深く関わりを持ちながらこれからも歩んでいく沖縄の姿を感じ取っていただければと思います。
開催場所:沖縄県立博物館・美術館特別展自室
開催期間:平成29年11月1日(水)~平成30年1月14日(日)
休館日:毎週月曜日、但し1月8日(月)は開館
開館時間:9:00~18:00(金・土は20:00まで)
(チラシ)
(貝匙復元資料(個人蔵))
(名蔵シタダル中国産陶磁器)
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